厚生労働省の資料から腰痛について知りましょう

1、腰痛の現状と世間の認識の変化

1-1、国民の自覚症状について

腰痛は厚生労働省研究調査1) によると全国で約2800万人、国内4人に1人が腰痛になっています。2019年国民生活基礎調査の概況2) によると自覚症状で一番多いのは腰痛と肩こりです。

平成28年(2016年)度国民生活基礎調査の概況3)と比較すると

順位に全く変化はありません。

1-2、国民の病院通院の状況

2019年度の調査では男性で腰痛が圏外で女性で5位です。

平成28年(2016年)度の調査では、男性5位で女性は4位です。

病院へ通院した症状については高血圧が一番多く変わらず、2016年から2019年へ腰痛症は男性5番目から圏外、女性4番目から5番目と順位を下げてます。症状として訴える割合は変わらないのに病院への通院が減っているのは、世間一般の整形外科への腰痛治療の現状を反映している結果といえます。

1-3、病院で腰痛はどのように診断され取り扱われているのでしょう?

医師の診察および検査で腰痛の原因が特定できるものを特異的腰痛、厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛といいます。病院の外来を受診する腰痛患者のほとんど (約85%)は原因の特定できない非特異的腰痛です。

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
(Ⅱ腰痛対策4)


人生の多大な損失となる腰痛は病院において原因が約85%分かっていません。非特異的腰痛となります。これは医療業界では有名な話ですが、世間一般にはまだまだ知られてません。

2、画像診断の現状

画像診断において腰痛の原因が分かるのが約15%と言われてます。

医師の診察および画像の検査(X 線や MRI など)で腰痛の原因が特定できるものを特異的腰痛、厳密な原因が特定できないものを非特異的腰痛といいます。ぎっくり腰は、椎間板(ついかんばん)を代表とする腰を構成する組織のケガであり、医療機関では腰椎捻挫(ようついねんざ)又は腰部挫傷(ようぶざしょう)と診断されます。しかしながら、厳密にどの組織のケガかは医師が診察しても X 線検査をしても断定できないため非特異的腰痛と呼ばれます。

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
第2章腰痛対策 5)

2-1、特異的腰痛(原因が特定できる腰痛)

原因が特定できる特異的腰痛は、約15%で椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄、圧迫骨折がほとんど占めてます。 

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
第2章腰痛対策 5)

椎間板ヘルニアは背骨の間にある椎間板というクッションの中にある髄核が突出、脱出する疾患です。脊柱管狭窄は読んで字の如し脊柱管が狭窄された状態です。歩行中に症状が悪化しても暫く休むと症状が軽減する間欠跛行(かんけつはこう)という特徴的な症状がみられる疾患です。圧迫骨折は背骨の椎体と呼ばれる骨が潰されてる様に形を変えてる疾患です。どれも画像の検査(X 線や MRI など)においてはっきりと特徴がつかめます。

2-2、非特異的腰痛(原因が特定できない腰痛)

残りの約85%が非特異的腰痛となります。

しかし、画像に異常が無いだけではなく

骨のずれ(すべり)やヘルニアなどの画像上の異常所見があっても、腰痛で困っていない人はいます

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
第2章腰痛対策 5)

とあり

逆に、腰痛の経験があっても画像所見は正常な場合もあります。

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
第2章腰痛対策 5)

というように症状と画像所見が結びついてないこともあります。画像診断そのものの信頼性が低い現状があります。

3、器質的と機能的について

画像上の異常所見は必ずしも痛みを 説明できない

引用元;厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare
第2章腰痛対策 5)

厚生労働省が上記の様に述べるのは、器質的(形態的・解剖的性質)な状態を診ているわけです。
 

WHO基準カイロプラクティックは、機能的(動き、作用)な状態をみて施術してます。違いが分かりましたね。

<参考文献>

  1. 厚生労働科学研究成果データーベース 文献番号201217001A https://mhlw-grants.niph.go.jp/project/21014  (最終検索日:2023年5月16日)
  2. 厚生労働省 平成31年 国民生活基礎調査の概況 世帯員の健康状況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/dl/04.pdf (最終検索日:2023年5月16日)
  3. 厚生労働省 平成25年 国民生活基礎調査の概況 世帯員の健康状況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa16/dl/04.pdf (最終検索日:2023年5月16日)
  4. 厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare (Ⅱ腰痛対策) http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/shakai_d.pdf(最終検索日:2023年5月16日)
  5. 厚生労働省 Ministry of Health, Labour and Welfare (第2章 腰痛対策) http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/1911-1_2d_0001.pdf P25-28 (最終検索日:2023年5月16日)

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