一か月前から腕が激しい痛みを伴い、病院で四十肩と診断された患者さんが、リハビリの改善が見られず挫折し、困っていたためインターネットで調べ、当院に来院されました。
四十肩、五十肩は、肩関節周囲炎と呼ばれ、肩の周りの筋肉が炎症を起こし、腕を動かすと痛みや可動域の制限が生じます。また、自発痛と呼ばれる、何もしていないのに激しい痛みに苦しむこともあります。
公益社団法人日本整形外科学会によると、四十肩、五十肩は中年以降、特に50歳代でよく見られ、その病態は多様です。肩関節を構成する骨、軟骨、靱帯、腱などが老化し、肩関節周囲の組織に炎症が起こることが主な原因と考えられています。肩関節の動きを改善する袋(肩峰下滑液包)や関節包が癒着すると、動きが制限されます(拘縮または凍結肩)。
四十肩、五十肩は他の症状と異なり、一度の治療で大きな改善を感じることはまれです。通常、5回から10回の施術が必要とされます。しかし、痛みの評価をしながら、2~3回ごとに改善度合いを確認します。10回の治療計画を一度に立てることはありません。
今回の患者さんは、腕の痛みで眠れない状態でした。2回の治療で痛みが軽減し、夜眠れるようになりました。回復が進み、4回目では夜の痛みはなくなりました。6回目では自発痛も消失し、肩の動きに伴う痛みの解消を目指しています。
関節や筋肉のバランスに負担がかかる場合、症状は長引くことがあります。一般的に、半年から一年かかると言われています。今回のケースでは、2日間隔で2回、3日間隔で2回の治療を行い、その後は週に1回の診察を行っています。約1カ月でかなりの改善が見られました。
また、半年から1年ほど苦しんで改善が進むと、以前の負担が反対側の腕に移行し、同様の症状が現れることがよくあります。四十肩、五十肩は非常につらく困難な症状ですので、生体力学的な負荷を避け、できるだけ早く治癒することが重要です。