【松山市】慢性的な足の痛みの原因を特定し、QOLを大幅に改善

【来院時の訴え】 「もう1週間、足の外側が痛くて腫れています。」そうおっしゃって、一人の患者様が当院を訪れられました。特に捻った覚えはないのに、歩くと痛みが増し、日常生活にも支障が出ているとのことでした。

【初診時の評価と疑問】 足の外側の痛みと腫脹という症状から、初期の診察では一般的な足関節捻挫、特に外側靭帯の損傷が第一に疑われました。腫れや圧痛の部位も、典型的な捻挫で痛むポイントと類似していたためです。しかし、問診を進める中で、患者様が「足首を捻ったという明確な出来事の記憶がない」と強く否定された点が、診断を進める上で重要な疑問符となりました。さらに詳しく話を伺うと、今回のような痛みと腫れが「今回が初めてではなく、以前から頻繁に、気がつくと同じような状態になっている」という、慢性的な経過をたどっていることが判明しました。単なる急性期の捻挫では説明がつかない、この繰り返しの症状こそが、根本的な原因が他にある可能性を示唆していました。

【詳細な問診と身体検査:根本原因の特定へ】 なぜ、捻ってもいないのに同じ場所が繰り返し痛むのか?この疑問を解き明かすため、問診はさらに掘り下げて行われました。普段の生活習慣、仕事の内容、スポーツ歴、過去の足の怪我の有無(たとえ軽微なものでも)、痛みの出るタイミングや動作などを詳細に確認しました。そして、身体検査では、患部の炎症状態、圧痛の範囲、足関節の可動域などを丁寧に評価しました。

特に注力したのは、足の骨格構造とその動き、中でも「踵の骨」の動きの観察と評価でした。足部には複数の関節が存在し、それぞれが複雑な動きを担っていますが、中でも踵の骨とその上にある骨とで構成される、足部にある、ある特定の関節は、地面からの衝撃を吸収し、足部を様々な方向へ適応させる上で非常に重要な役割を担っています。詳細な触診と、関節の動きを誘導する検査法を組み合わせた結果、患者様のその関節には、通常の範囲を超えた、あるいは不適切なタイミングでの「ぐらつき」や「不安定性」といった異常な動きが認められました。これは、この関節を安定させている靭帯や、その周囲の組織が、繰り返されるストレスによって機能不全に陥っていることを強く示唆していました。

【診断:足部にある、ある関節に起因する慢性的な靭帯負荷】 これらの詳細な問診と身体検査の結果から、患者様の足の外側の痛みと腫れは、急性的な捻挫ではなく、足部にある、ある関節の慢性的な不安定性や機能異常が根本的な原因であり、その結果として足の外側の靭帯や軟部組織に繰り返し過剰な負担がかかることによって生じている症状である可能性が極めて高いと診断されました。過去に捻挫を起こした経験がなくても、歩行やくせ、あるいは過去の気づかない程度の微細な損傷の積み重ねによって、この関節の安定性が損なわれ、それが痛みの「震源地」となっていたのです。

【施術と驚きの効果】 診断に基づき、施術は足部にある、原因となっている関節の機能を正常な状態に近づけることを目的としました。今回は、その場で踵の骨の適切なアライメントを保持し、その関節の過剰な動きを制限するためのテーピング療法を選択しました。特殊な貼り方で踵の骨をサポートし、足部の安定性を高めます。テーピングを施した後、患者様に立っていただき、体重をかけて歩く動作や、普段痛みの出るような動作を試していただきました。

すると、驚くべきことが起こりました。患者様は「あれ?痛くない…」と、非常に不思議そうな、そして安堵したような表情をされました。施術直前まであった痛みが、テーピングによるサポートだけで大幅に軽減、あるいは消失したのです。この劇的な変化は、痛みの原因がまさにその関節の不安定性によるものであることを明確に裏付けるものでした。

【考察:なぜ慢性化し、「弱い場所」になってしまうのか】 今回のように、足部にある、ある関節の機能不全が痛みの根本原因である場合、その不安定性を放置してしまうと、常に足の外側には不必要なストレスがかかり続けることになります。これにより、痛みが再発しやすく、まさに患者様が訴えていた「原因不明でよく痛む弱い場所」という認識につながってしまいます。この関節の機能異常が慢性化すると、無意識のうちに痛みを避けようとして歩き方や体の使い方が歪み、それがさらに別の場所(膝、股関節、腰など)に負担をかけるという悪循環に陥ることも少なくありません。このように、根本原因が特定されないままでは、対症療法を繰り返すだけで、症状は改善せず、活動範囲が狭まるなどQOLが著しく低下してしまうのです。

【治療の意義と今後の展望】 今回のケースでは、丁寧な問診と詳細な身体検査によって、一般的な捻挫という診断にとどまらず、痛みの真の原因が足部にある、ある関節の機能異常にあることを特定することができました。そして、その根本原因に対して適切なアプローチ(今回はテーピングによる関節のサポート)を行うことで、即座に痛みの軽減という効果を実感していただけました。

これは単に痛みが和らいだというだけでなく、長年悩まされてきた「原因不明の痛み」から解放され、「なぜ痛むのか」「どうすれば良いのか」が明確になったという点で、患者様にとって非常に大きな意味を持ちます。その関節の機能を正常化するための施術計画を立て、ご自宅でのケアや運動指導も行うことで、この関節の安定性を高め、痛みの再発予防を目指します。

今回の診断と処置は、患者様が今後の人生において、足の痛みに悩まされることなく、活動的な生活を送り、より快適に過ごせるようになるための、まさに重要な一歩となるでしょう。我々カイロプラクティックの役割は、このように体の構造と機能の関連性を詳細に評価し、不調の根本原因を見つけ出し、適切なアプローチを行うことで、患者様自身の自然治癒力を最大限に引き出し、QOLの向上に貢献することにあると改めて感じさせられる症例でした。

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