肩関節周囲炎 四十肩 五十肩について

肩関節周囲炎(四十肩、五十肩)になると長期間生活の質(Quality of Life)を落とすとても辛い症状です。

この肩関節周囲炎、読んで字の如し、肩の周りの筋肉が炎症を起こして酷くなると腕の可動域もほとんど無くなり自発痛で夜も眠れない状態になります。

しかし、いきなり酷くなるわけではなく、肩の少しの違和感から始まり、痛みになり、それが次第に大きくなり肩関節周囲炎になります。

そのきっかけでよくある症状が、石灰沈着性腱板炎や烏口突起炎、肩峰下滑液包炎です。

まず、石灰性沈着腱板炎についてみてみましょう。

整形外科学会のHPでは、症状について
夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まる事が多いです。痛みで睡眠が妨げられ、関節を動かすことが出来なくなります。発症後1~4週、強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1~6ヵ月続く亜急性型、運動時痛などが6ヵ月以上続く慢性型があります。と述べており

原因と病態については
40~50歳代の女性に多くみられます。肩腱板内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じる事によって起こる肩の疼痛・運動制限です。と述べてます。

骨の70%はリン酸カルシウムが成分です。骨が再合成されてる時に負担があり腱の方へリン酸カルシウムが浸食していったのでしょうね。画像診断で判明するので整形外科の診断を持っていらっしゃる方は多いです。

腱の変性が起こるくらい肩関節、その周りに負担があったという事です。肩の関節は複雑なのでみてみましょう。

上の肩甲骨に下の上腕が付いてます。上腕骨先端の球形の関節頭が肩甲骨にある関節窩に組み合わさってます。これまた浅い接合です。ですので、腕はとても自由な動きが出来る様になってるのが分かると思います。

肩関節部の拡大です。靭帯(関節上腕靭帯、烏口上腕靭帯、横靭帯、烏口肩峰靭帯など)がこの様について肩が離れない様になってます。しかし、腕の長さと重さ(体重の約7%)と、手に物を持った時の肩への負担を考えるととても貧弱な靭帯です。太古の人類からは、一日中、スマートフォンやパソコンを使用する為に腕を前にだして生活する事は想定して無かった様です。

肩関節は、股関節の様に包むような関節面ではないし、強靭な靭帯にも守られてません。ですので、痛みなど無ければ、筋骨格機能不全からくる疾患予防の為に強い筋肉で保護すると良いと思います。

烏口突起炎

右にある肩甲骨を前からみてます。右上に出っ張った烏口突起があります。そこに筋肉では上腕二頭筋短頭腱、小胸筋腱、烏口腕筋腱が付着しており、靭帯は烏口肩峰靭帯、烏口鎖骨靭帯、烏口上腕靭帯、肩甲上横靭帯が付着してます。

肩甲骨自体、羽の様な大きな部分に関節面は無く筋肉が付着しておりお互いに引っ張りあって、言ってみれば宙に浮いている状態に近いです。それ故、負担が大きく多くの腱や靭帯が付着している烏口突起に炎症が起きることがあります。

また、胸郭出口症候群にも関係しており、他の疾患の一症状として発現することもあります。
胸郭出口症候群(TOS)の症例詳細

肩峰下滑液包炎

肩峰下滑液包は、腱や靭帯のスジの様な硬い線維に対してクッションの役目をして負担なく滑らかに動くようにします。

滑液包は、神経や血管が多く比較的簡単に痛みを発現します。整形外科では、大結節あたりに痛みがあり、肩峰下滑液包に雑音を感じ少し腫れてるような状態が当てはまります。

こういった症状が肩関節周囲炎、四十肩、五十肩のきっかけになります。

はやい段階でカイロプラクティック施術で筋骨格の負担を改善させて大きなリスクを軽減させましょう。

肩は複雑です。骨は胸骨、鎖骨、肋骨、肩甲骨、上腕骨があります、筋肉は、胸鎖乳突筋、僧帽筋、肩甲挙筋、菱形筋、前鋸筋、棘上筋、棘下筋、小円筋、大円筋、広背筋、三角筋、上腕二頭筋、上腕三頭筋、烏口腕筋があります。関節は上腕関節窩関節、肩鎖関節、胸鎖関節、肩甲胸郭関節があり。臨床上どれも大切でチキンと評価して異常のない状態にしないと負担が取れません。

その状態で前述の石灰沈着性腱板炎や烏口突起炎、肩峰下滑液包炎のような症状がでてきて肩関節周囲炎 四十肩 五十肩になることが多いです。

疾患は好発年齢が大体分類されてます。肩峰下滑液包炎は、60歳代が多く、40歳から60歳で約70%になります。石灰沈着性腱板炎は50歳代に最も多く。40,50,60歳代で全体の80%を占めます。

肩関節周囲炎 四十肩 五十肩は、50歳代に最も多く、60歳代がこれについでいて、40歳から60歳代で全体の87%を占めます。

症状は、男女、左右に区別はなく、上記の年代にみられる肩関節周りの疼痛と筋肉の拘縮を特徴とする疾患です。疼痛は夜間痛、自発痛が強く、時に頸部や腕や手に放散します。疼痛が無くなっても筋肉の拘縮があり腕の可動域に制限があります。

筋肉の拘縮とは簡単に述べると、神経的な指令がなく勝手に収縮してる筋肉です。

———————(専門的なので省略してください)

もう少し詳しく述べると筋線維の収縮性メカニズムになる持続的な固有の活動、運動単位に活動電位が存在しないときでも筋肉が収縮する。(*1)と説明されてます。

活動電位が存在しないのは、筋肉に一過性の過負荷がかかり筋小胞体が破れてCa2+が遊離してミオシンとアクチンの間に架橋ができ、ATPの分解エネルギーが使われて細いフィラメントの滑走が起こる(*2)からです。

拘縮が続くと血流が阻害され発痛物質が蓄積して痛みを感じます。また痛みは血管収縮反射をおこし血流がさらに阻害される。またこの反射で痛覚受容器の過敏化が起こります。またATPが産生され難くなりミオシンとアクチンの架橋が切れなくなり拘縮が持続します。(*2)

———————(専門的なので省略してください)

痛みが無くなり拘縮が残った状態では、積極的に腕を動かす必要があります。勿論、カイロプラクティック施術が有効です。当院では弛めなくてはいけない重要な筋肉を特定してご自宅で弛めて頂いてますので改善もスムーズで喜んで頂いております。

参考文献

*1 川原群大(1992年)『トリガーポイントマニュアル』 エンタープライズ.

*2 横田敏勝(1990年)『臨床家のための痛みのメカニズム』 南江堂.

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!